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そして、段々、業界の中でデザインに対する理解度が確かに深まって参りました。今は、試作品を作るのにかなりの企業に協力してもらえるようになったんです。今回は７社、８社かな、協力してくれます。最初の頃は、１社か２社しかなかったんですよ、コンペに協力しようという企業が。それじゃあ、まち全体のデザイン力が付いたかと言うと、まだそうでもないんですね。他の業界から見ると、どうして旭川は家具にばかり補助金を出すんだ、と言う人もいるらしいですけれど、でもまぁ、今日までやって来ました。私は10回やるんだと公言して来ましたから、市長が替わっても幸い、これはちゃんと続くんですよ。今年８回目ですから、あと２回です。1990年が第一回ですから、10か回目は2020年。そこまで私は生きているかどうか分かりませんが、ハハハ。

　その間に何が起こったかと言うと、デザインに無関心な企業がほとんど無くなったということです。世の中が大きく変わって、バブルが崩壊して、需要も減って変化して、タンスの市場が無くなって、イスの市場に変わって来たとか、様々な現象があるんです。その中で、時代の変化に対応できて来た企業が、大体今でも生き残っているということが言えます。デザインというのは、そういう意味で言えば、時代の変化を先取りすることでもあるんですね。

　私は、インテリアセンターを作った、最初からこのデザインを重視して来ていますから、デザインを経営の重要なファクターとして、ずっと多くのデザイナーと一緒に仕事をして来ています。国内のデザイナーはもちろん、海外のデザイナーもです。私は、外国語がたくさん出来るわけじゃないんですが、それでも結構通じるというのが面白いんですね。つまり、ベクトルが合う、心が通じ合うと、お互いに相当言葉が不自由でも、筆談とか、絵を描いたりとか、それで意思の疎通ができるんですね。建築なんかそうですよね。いま、日経新聞の「私の履歴書」に安藤忠雄が書いていますね、もう20回以上になってるかな。あの安藤忠雄さんの「履歴書」を見ても、あの人学歴ないんですよね、確か高卒で独学で建築士になって、今でもご本人は、私は英語だめですとおっしゃっているんですが、それで世界の仕事をやっているんですよ。世界の大型プロジェクトの仕事をやるんですよ。

　建築家というのは、スケッチはうまい。うまいと言うか、非常に殴り書きの絵ですが、自分のアイデアを表現する力を持っているんですよ。言葉を超えたものを持っているんですね。私は、歴史をたどってみても、優れた建築家というのは優れたデザイナーだと思っています。もちろん、優れた建築家で家具のデザインはじめ、いろいろなモノのデザイン、優れたデザインを残した人はたくさんいますよね。とりわけ日本では、フランク・ロイド・ライトというアメリカの建築家ですね、昔の帝国ホテルを設計した人ですが、この人なんか家具もたくさんやっていますし、他の日用品もいろいろやってますね。ヨーロッパにも、そういう人は何人かいます。建築家というのは構想が大きいんですね。構想が大きいから、何にでも応用することが出来る。しかも、言葉を超えてコミュニケーションが出来るということがあります。