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私は海外のたくさんのデザイナーの友達というか、お互いに信頼し合える相手、パートナーを持っています。それは言葉が出来ないとかなんとかおじけるんじゃなくて、やってみる。やってみると通じるということをたくさん経験しています。スウェーデンのあるデザイナーですが、彼は僕よりも４歳か、５歳か年上です。僕がインテリアセンターという会社を始めて３年目か、４年目か、北欧に旅行をしていて、たまたまスウェーデンのあるお店でイスを見つけたんですよ。小さなイス、普通のイスと言えば普通のイスです。でもね、そのイスを見た時に、何か、あっこれは日本人が好みそうだな、日本人が使い良さそうなイスだな、これは直感的なひらめきです、そう思ったんです。日本にもこんなイスはないなと。

そこでその店のオーナー会って、どこで作っているのかと尋ねるとスウェーデンで作っていたんです。デザイナーに会いたい、紹介してくれと頼んだんですが、そのオーナーはデザイナーのことを知らないんですね。親切にいろいろ調べてくれたんです。で、デザイナーが分かって、連絡を付けてくれました。明日なら会えると言うから、訪ねて行ったんです。全くの初対面。私は日本で小さいけれども家具のメーカー、家具を作っているんだと。その当時、社員は30人くらいでしたかね。星さんももういたかな、その時。このイスを日本で製造販売したい、という申し入れをしたんです。即座に返事はありませんでした。ちょっと考えさせてくれと言うことで別れて来ました。

　幸いなことに、彼は日本に友人を持っていたんです。東京のデザイナーでした。そのデザイナーを通じて、私のところに話が返って来まして、いいだろうという話になったんです。たまたま、その東京のデザイナーというのは、私がしばらく東京でデザインの勉強をしていた時に、私にデザインを教えてくれたというか、そういう関係で知り合いだったんです。だから話がうまく行ったということもあるんです。川上さんという人でね、この人はスウェーデンに３年間留学していた人なんですよ。デザインを学ぶために夫婦で留学していたから、そのスウェーデンのデザイナーと友人関係にあったんです。余談ですが、その川上さんの娘が、女優の川上麻衣子さんですよ。だから、川上麻衣子さんがオムツしている時に抱っこしたことがあります、ハハハ。

　そんなことから、スチュールエングというスウェーデンのデザイナーと知り合って、そのイスを作り始めて、彼は熱心に日本のマーケットで売るために何回も来ましたよ。というのは、スウェーデンで売っていたイスをそのまま作ってみたんですが、最初は中々売れないんですよ。なぜ売れないのかというようなことをいろいろディスカッションしながら、少しずつ改良してね、それに１年以上かかったかな、確か。そしてようやく売れるようなった。売れるようになったのは、スウェーデンで売っていた現物よりも、遥かにレベルが高いものでした。私は、日本人のセンス、感性というのは、決して悪くないと思いますよ。もっともスウェーデンで売っていたイスと言うのは、高級なものじゃありません。ごく一般的なイスです。それはそれでスウェーデンでは、そこそこ売れていたんでしょう。日本に持って来て、そのデザインをさらに改良して、もうちょっとレベルの高いものにして、ようやく売れるようになったんです。それから37、8年、今日まで、続いているんです。今でも、毎年3000脚くらい売れます。