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長原 實 みのる塾

[みのる塾]第15回

我々は、旭川家具にもっとデザイン力を付けなければならないということを盛んに言い始めて、業界に警鐘を鳴らしていました。しかし、一向にそれが進まない。そこで、考えたのが、今も続いていますが、国際家具デザインコンペティションなんです。デザインスピリットを業界の中で高めて行くためには、創造的な考えを持つ人を旭川に呼び込まなければいけない、あるいは、旭川の家具を作る、特に若い人たちにデザインマインドを徹底して普及させなければいけない、ということで始めたのが、国際家具デザインコンペティション、デザインフェアと呼んでいますが、これなんですね。それでも、その頃はまだ、多くの同業者も、そんなことに金をかけても何もならないと言う人が結構いたんです。しかし、幸いにも1回目を開催できました。

 その一番大きな理由は、ちょうど旭川市が開基100年だったからなんです。皆さん記憶にあるかも知れませんが、1990年が旭川市開基100年でした。この時、市は3年も前から、農業博をやろう、アグリで博覧会をやろうという方向を示していたんです。しかし、具体的な計画が立てられないままどんどん時間が経って、98年、99年くらいまで来てしまい、アグリで博覧会をやるには時間的にとても間に合わない、ということになってしまった。その当時の坂東市長が、前の年になって博覧会は止めたという決断をしたんです。まぁ準備もしないで、やろうやろうと言っても出来るわけがないんですが、しかしまぁ、止めるという決断も大事な決断だったと私は思いますよ。

 そこで、方向が変わって日本のまつりをやろう、ということになった。あれも相当なお金がかかったんですが、結果的には成功したものの一つでしょう。これも、まちのグランドデザインということを考えれば、本当にどうだったのかという議論もありますが、農業博が3年、4年と時間を踏んで着々と準備をしていれば、それが出来たと思いますし、その成果が今日、このまちの経済にかなり良い影響を与えていたかも知れません。これは分かりませんね。しかしまぁ、まちのグランドデザインというのは、そこで一度頓挫してしまったということが言えるんです。時間がないからということで、全国各地の伝統的な祭りを旭川に呼び込んで来たということなんですから、まぁ安直と言えば安直なんですが、しかし市民が相当エキサイトしましたし、楽しい催しでしたよね。

 そういう事情があって、その開基100年にからめて、我々は国際的なデザインコンペをやろうと市に申し入れたんです。だから、開基100年記念には、ちょうど手頃な催しだったとも言えます。我々はそこまで考えたわけではありませんが、しかしまぁ、100年の催しとしては、何か記念になるかも知れないということで、東海大学と我々業界が行政に売り込んだということがあって、第1回目のデザインコンペが開かれたんです。その時は、100年記念ということもあって、市は補正予算まで組んで、6000万円出したんだよね。その他に経産省の補助金とか、旭川信金などの銀行の協賛金とか、もちろん我々も4000万円くらて出していますかね。家具業界もあの頃は、まだ元気があったんですよ、ハハハ。

 1回目は、1億2000万円の予算でした。そんなお金をかけて、今後どうするか、ということになったんです。しかし、1回目は出来た、それなりの成果もあった、世界からも、それほど大勢ではないが客を呼べたし、デザイナーも集まったんですよ。だから、何とか継続しなければいけない。つまりね、デザインスピリットと言うのは、一回何かをやったから育つと言うものではないんですね。とにかく長く続けて、地域ごと、そうしたものを高めて行くためには、時間がかかる、お金もかかる。そうすると毎年はやれない。それで3年ごとに、しかも10回やろう、つまり30年です。30年かけると、まず一世代交代するんです。一世代交代する時間をかけながら、デザインスピリットをこのまちに広げて行きたい。こういうことでせ行政も説得して、東海大学と我々家具業界と、そして行政と、産学官の3つの柱が出来たんです。3つと言うのは三脚みたいなもので、安定するんですよ。それで今日まで継続出来たんです。

 その間、様々な工夫もしましたし、情報機器の発達もあって、今年がちょうど開催年、8回目の開催年です。6月に発表をやりますが、今では5000万円でやれるようになりました。同じ規模ではないにしても、国際家具コンペが5000万円で開催出来るようになったんです。それもやはり、継続は力と言うか、工夫なんです。社会の情報機器が非常に発達したということと、一方では旭川のデザインコンペというものが、世界で認知されて来たということ。だから、それほど宣伝費をかけなくても応募者がたくさん集まるようになったんですね。それから、審査の手法もそうした情報機器を駆使することで、いろいろ簡素化できたということもあります。そうした様々な理由から、今日では5000万円で開催出来るようになったんです。

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