掛けるティッシュホルダーのお話を、デザインした“木取りの山中”から。


普段は工房最初の工程「木取り」を担当している山中だからこその気付きから生まれた”掛けるティシュホルダー”のお話です。
端材を使った製品を作ろうという社内コンペから生まれました。

製造部 山中健太郎

「この度、私が考えた ”掛けるティシュホルダー” が正式に商品化されることとなりました。昨年の社員が考えた製品を商品化するというコサイン35周年企画で、数量限定で売り出されたこの製品は、ありがたいことに沢山の御支持をいただき完売いたしました。ご購入された皆様、開発、製造、販売に関わったスタッフに感謝いたします。

折しも今年は、私がコサインに入社して20年目の節目です。この製品は20年務めてきたコサインという会社の経営理念に対する私なりの答えだと思っています。

“木取り”という仕事

私の仕事は“木取り”という家具を作るうえで最初の工程にあたります。長さも幅もばらばらの板から、製品をどう切り出すかを決める工程です。私の木取り方で製品の表情が変わってきます。いかに木材を無駄なく、かつ綺麗な家具にしていくかが重要です。

天然の木材だからこそ生まれる“もったいない”

しかし相手は天然の木材、人間の都合のいいようには育ってはくれていません。曲がってみたり、穴が開いていたり、腐っていたり、そこから決まった寸法に切ろうと思ってもどうしても無駄になる部分は出てきてしまいます。

変わらない考えと変わっていった考え

使えなかった木材の切れ端を捨てて星社長にかみなりを落とされたことは数知れず。
『長い年月をかけて育った木材を捨てるなんて、もったいないとは思わないのか。』
最初のころは、コサインの製品には活かせない材料なのだから理不尽なことを言うと思っていました。
しかし何度も怒られ、社長の木材に対する常に変わらない考え方を目の当たりにしているうちに、自分の考え方が変っていくのに気づきました。
『木から見れば、勝手に人間の枠にはめられ捨てられることの方が理不尽かもしれない。』
ただ無感情に使われなかった木材を冬期暖房の薪にしてしまうのではなく”もったいない”という思いを寄せること、木材を思いやることが”木の幸せ”につながっていくのかもしれません。

バラバラだった想いをひとつの形に

2021年コロナ禍に社内コンペが行われました。製品を作る中で出た端材を使った製品を社内からという内容でした。ここで私は頭の中でそれぞれバラバラだった、木のしあわせ・使われなかった木材たち・もったいないを結び付けた製品を作ってみようと思い立ちます。
コサインで売れ筋商品のドレスラック、エントランススツールは年間数多く生産します。
生産数が多いのでその分端材も多く出てしまいます。
これらの製品の生産過程でどうしても出てしまう、使われなかった木材で製品を作ろうと考えました

そうだティッシュケースを吊り下げよう!

箱ティッシュ。頻繁に使うものですが、意外と置き場所の面積を取られると思ったことはないでしょうか。我が家にはコサインのリンクテーブルという製品があります。大小二つの丸テーブルが入れ子になるもので、小さいテーブルはマガジンラックになっています。そのマガジンラックに箱ティッシュを置いていましたが、テーブル面積のほとんどを占有される状況でした。この時、箱ティシュを側面に吊り下げられればと思ったことが、掛けるティシュホルダー制作の始まりです。

小さいドレスラックのような感じで

使える木材の形は最初からほぼ決まっていたので、それをどう組み合わせて箱ティッシュを掛けられるようにするかを考えました。
木材だけで作ろうとするとどうしても、大きくなってしまったり、構造が複雑になってしまったりしたため使える物にはなりませんでした。ある時、これもまた欠点や取り方で使えなかったドレスラックの革ベルト用の革があることを思い出します。それに箱ティッシュを乗せることで、すっきりとした形状に落ち着きました。板と丸棒の組み合わせがドレスラックに似ていることもあり、小さなドレスラックのようになればと、板の側面はドレスラックと同じカマボコ面にしました。

“もったいない”のさらに“もったいない”

株式会社コサインは”もったいない”という思いから始まった会社です。しかしもったいないという思いで製品を作っても、さらにもったいない木材が出てきてしまうという現実がありました。この製品がそれら使われなかった木材たちを思いやる一つの形になればと思います。
ちなみに最初に作った掛けるティシュホルダーは我が家のリンクテーブルの側面に収まっております。使ってくださる方の、”長く大切に使える木の生活道具”になることを願っています。」




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